1. HOME
  2. 日本文化を学ぶ
  3. 二十四節気・季節
  4. 『秋分』次候、蟄虫杯戸(ちっちゅうこをはいす)
二十四節気・季節

『秋分』次候、蟄虫杯戸(ちっちゅうこをはいす)

二十四節気・季節

850

みなさま、こんにちは、のレンリテール部の岩崎です。

本日七十二候は、秋分次候:蟄虫杯戸(ちっちゅうこをはいす)に移ろいました。

秋分の次候は、「外で活動していた虫たちが冬ごもりの支度をはじめる頃」を言います。

虫たちは秋冬が終わるのを、約半年間も土の中で静かに待ちます。そして、啓蟄の頃に再び姿を現します。(啓蟄とは、3月5日ごろからの二十四節気になります。)

さて、この秋分次候の期間には、季節を最も感じる行事があります。

月を慕う風流なイベント『十五夜』です。今年は10月1日になります。

昔から、一年の内でもっとも明るく美しいお月様は、旧暦8月15日に昇るとされてきました。

街灯もなかった時代の人々にとって、夜を照らす月の満ち欠けは大きな日常の関心事でした。

そのため、旧暦は月の満ち欠けをものさしとして作られており、旧暦の1日は新月、15日前後が満月となります。

十五夜は、秋の収穫を祝い、満月に因んだ丸い物をお供えします。

お供えは、栗や里芋などの収穫物、十五夜団子など。

これらをススキの穂や、秋の七草と合わせて、月の出る方角に向けてお供えします。

(正式には月から見て左が上座にあたるため、左に収穫物、右に月見団子を置きます。)

因みに、ススキは神様が宿る寄り代であり、魔除けになるとも言われている縁起物です。昔から、月に供えたススキを軒下に吊るしておくと、病気にかからないとされてきました。

お団子は、まぁるい満月を模したもの。お月様への感謝のしるしという謂れがあります。

十五夜は、別名「中秋の名月」とも呼ばれますが、ちょうど里芋の収穫の時期にあたることから、「芋明月」などと謂れ、芋を供える地域もあるそうです。

京都北野天満宮では、10月1日から10月5日まで1000年以上の歴史があると言われている「ずいき祭」があります。

ずいき・・・これは里芋の茎のこと。野菜や乾物などで飾られた御輿を祭るなど、秋の収穫に感謝を捧げる祭だそうです。

何故、里芋がここまで重宝されるのか…。調べてみました。

日本では、里芋は稲作よりも古く、なんと縄文時代後期より以前から日本に入ってきていたそうです。ですから、各地で芋にまつわるお祭りがあるのも納得できました。

月は、人間にとってもかけがえのないもの。

そして、元々は中国から伝わった月見の祭り事を日本らしく「実りの秋」を祝し、月に捧げるようになりました…。

農作業がひと段落する頃、少しのんびりと農家の皆さまも月夜を楽しんでもらえたら、と願います。

10月29日に訪れる「十三夜」と合わせて、月を楽しむ風流を感じ、改めて新米やお野菜含めた旬の食材の収穫に感謝すると共に、この先の豊作を祈り、今年も皆さん思い思いのお供えをして、お月見を楽しみましょう。



当店のレンは、暖簾(のれん)を潜ってもらい、お客様にまだ知られていない日本の奥深い暮らしの考え方や工夫、魅力を伝えたいという想いで誕生しました。

永く愛されるもの、古きを温めて現代の生活を取り入れたくなるもの、自然素材のもの、生産者さま・作り手さまの温もりが感じられるもの、などを品揃えして、節目ごとにふと立ち寄りたくなるようなお店を目指し、丁寧により豊かに過ごすことができるようにと皆様をお待ちしております。