
『秋分』次候、蟄虫杯戸(ちっちゅうこをはいす)
みなさま、こんにちは、のレンリテール部の岩崎です。
本日七十二候は、秋分次候:蟄虫杯戸(ちっちゅうこをはいす)に移ろいました。
秋分の次候は、「外で活動していた虫たちが冬ごもりの支度をはじめる頃」を言います。
虫たちは秋冬が終わるのを、約半年間も土の中で静かに待ちます。そして、啓蟄の頃に再び姿を現します。(啓蟄とは、3月5日ごろからの二十四節気になります。)
さて、この秋分次候の期間には、季節を最も感じる行事があります。
月を慕う風流なイベント『十五夜』です。今年は10月1日になります。

昔から、一年の内でもっとも明るく美しいお月様は、旧暦8月15日に昇るとされてきました。
街灯もなかった時代の人々にとって、夜を照らす月の満ち欠けは大きな日常の関心事でした。
そのため、旧暦は月の満ち欠けをものさしとして作られており、旧暦の1日は新月、15日前後が満月となります。
十五夜は、秋の収穫を祝い、満月に因んだ丸い物をお供えします。
お供えは、栗や里芋などの収穫物、十五夜団子など。
これらをススキの穂や、秋の七草と合わせて、月の出る方角に向けてお供えします。
(正式には月から見て左が上座にあたるため、左に収穫物、右に月見団子を置きます。)

因みに、ススキは神様が宿る寄り代であり、魔除けになるとも言われている縁起物です。昔から、月に供えたススキを軒下に吊るしておくと、病気にかからないとされてきました。
お団子は、まぁるい満月を模したもの。お月様への感謝のしるしという謂れがあります。
十五夜は、別名「中秋の名月」とも呼ばれますが、ちょうど里芋の収穫の時期にあたることから、「芋明月」などと謂れ、芋を供える地域もあるそうです。
京都北野天満宮では、10月1日から10月5日まで1000年以上の歴史があると言われている「ずいき祭」があります。
ずいき・・・これは里芋の茎のこと。野菜や乾物などで飾られた御輿を祭るなど、秋の収穫に感謝を捧げる祭だそうです。

何故、里芋がここまで重宝されるのか…。調べてみました。
日本では、里芋は稲作よりも古く、なんと縄文時代後期より以前から日本に入ってきていたそうです。ですから、各地で芋にまつわるお祭りがあるのも納得できました。
月は、人間にとってもかけがえのないもの。
そして、元々は中国から伝わった月見の祭り事を日本らしく「実りの秋」を祝し、月に捧げるようになりました…。
農作業がひと段落する頃、少しのんびりと農家の皆さまも月夜を楽しんでもらえたら、と願います。

10月29日に訪れる「十三夜」と合わせて、月を楽しむ風流を感じ、改めて新米やお野菜含めた旬の食材の収穫に感謝すると共に、この先の豊作を祈り、今年も皆さん思い思いのお供えをして、お月見を楽しみましょう。