
『白露』末候、玄鳥去(つばめ、さる)
こんにちは。のレンリテール部の岩崎です。
皆さま、随分と朝晩は涼しくなってきましたが、体調お変わりございませんか。
もうすぐ秋分ですが、七十二候は白露の末候「玄鳥去(つばめさる)」となり、ツバメたちが、冬を前に南の国へ旅立つ時季を言表した情景豊かなシーズンへと移ろいます。
ツバメたちは、来年の春には子育てをするために、また日本に帰ってきます。
食糧の確保の為や繁殖の時期など、定期的に長距離を移動する『渡り鳥』。
ツバメなどは「夏鳥」と謂れていて、春に来て子育てし、秋になると南の国に去っていきます。
ハクチョウなどの「冬鳥」は、厳しい冬を越すために、北の国から過ごしやすい日本にやってきます。
チドリなどの「旅鳥」は、北国で繁殖し南国で越冬するため、中継地点として日本を通りかかります。
『渡り鳥』もその種類によって、生きる術を自然に身につけ、工夫をして、日本の自然豊かな大地や気候を上手く活用していることに、とても感心します。
よく世間での例え言葉として、転々とする苦労人を「渡り鳥」と表現したりしますが、鳥たちの『渡り』の旅はまさに苦労の連続。
嵐や天敵など危険もいっぱいです。
ツバメたちも、毎回命がけで、生き抜くための安らぎの場所に辿り着くのです。

またツバメは「縁起の良い鳥」という謂れがある、ということを春の七十二候「玄鳥至る」で紹介しました。
この秋は、特に農作物の収穫があり「実りの秋」ですが、ここにさりげなくツバメの恩恵を受けているエピソードを紹介します。
例えばスズメは、ツバメと同じぐらい身近な野鳥ですが、お米などをついばむため、昔から遠ざけられてきました。
対するツバメは、農作物を荒らす害虫をエサとするため、人間の役に立つ益鳥にあたります。
特に農薬のなかった時代には、空中を飛びながら、害虫を次々に食べるツバメは大切な鳥でした。
そこで、ツバメが巣をつくった家は害虫の被害にあうことがなく豊作になると考えられるようになりました。
江戸時代では、ツバメのフンまで雑草駆除に役立つという迷信があったそうです。
そのため、ツバメは「未来永劫の願いが託されている」という意味であったり、集団でこの秋冬を乗り越えることから「円満・家内安全」などの縁起の良い鳥として、現代に言い伝えられたりする存在になりました。

春までの間、しばらくのツバメとお別れですが、一斉に旅立つその瞬間に出会ったら、「無事にまた戻っておいで・・」と心で想いながら、私たちの生活も、また大切な人への想いも、無事にこの秋冬を健康でいられるように…と願いを込めて、縁起の良いモチーフとして身に付けるのも良いかもしれませんね。
