1. HOME
  2. 日本文化を学ぶ
  3. 季節
  4. 『小満』次候、紅花栄(べにばなさかう)
季節

『小満』次候、紅花栄(べにばなさかう)

季節, 日本文化を学ぶ

62

こんにちは、のレンの妻木です。

みなさん、ようやく全国で緊急事態宣言が解除されましたね。
長かった自粛生活から少しずつ日常が戻り、また新たな生活が始まります!                                    

今日から七十二候は、小満次候「紅花栄(べにばなさかう)」に変わりました。
紅花が一面に咲く頃をいいます。

紅花の開花は5〜7月。染料として花びらだけを摘んでいた為、別名「末摘花(すえつむはな)」と呼ばれています。                                   

黄色と赤が入り交じった「紅花」の花は、そのままの黄色と赤の色素を含みます。
葉の刺が鋭いため、紅花染の材料となる花の採取は早朝、露を含んで葉がまだ柔らかいうちに、花びらだけをひとつひとつ丁寧に摘み取っていきます。  

花を発酵して乾燥させて作る染料「紅餅」は大変手間ひまがかかることから、幕末当時は、お米よりも価値があり、金の十倍といわれる贅沢品でした。
ですから、濃い紅染は限られた高貴な人しか着用が許されない「禁色(きんじき)」となりました。

同様に紅餅から作られる口紅も高価なものだったので、紅はごく一部の裕福な人々しか使用できず、花摘みをする農家の娘たちとは無縁のものだったそうです。
花摘みをする農家の娘さんたちは、普段はつけることができない紅を見ながら、何を思っていたのでしょうか…。

紅餅作り


紅花の原産はエジプトと言われており、日本にはシルクロードを通って、5〜6世紀頃に伝わり、近畿地方を中心に全国に広まっていきました。

江戸時代中期には、山形県最上地方で栽培される「最上紅花」は、徳島県で生産される阿波の藍玉と並んで、「江戸時代の二大染料」として知られるようになりました。
最上地方は今でも紅花の日本最大の産地として知られ、紅花は山形県の県花にもなっています。7月には「紅花まつり」も行われ、黄色や橙色の紅花が一面に咲いて、彩りある景色が楽しめます。


染料として親しまれた紅花。開花当初は「黄色」で、そして日が経つにつれ「紅色」へと変わっていく花びらは、深まりゆく恋心にも例えられ、「万葉集」や「古今和歌集」などに、多くの和歌が残っています。                                              

「紅の薄染衣 浅らかに相見し 人に恋ふる頃かも」

『源氏物語』の第六帖のタイトル「末摘花」でも有名な、物語に出てくる鼻の先が赤い女性に対して、花が紅いことをかけて光源氏がつけた名ですが、不美人ながら、実直な性格、純真で一途な心根を持ち、光源氏と生涯関わり続けた女性の一人となりました。    


紅花は、昔から染料や口紅・頬紅としてだけでなく、生薬・ハーブとしても使われていました。

血行を良くしたり、ホルモンバランスを整えたりする効果があり、「紅花(こうか)」とよばれる漢方薬にもなっています。
体を温めてくれるので、冷え性の女性が好んで、紅茶として飲まれているそうです。

養命酒にも生薬として含まれていたり、種を絞って採れる紅花油(サフラワーオイル)は食用油やマーガリンにも使われていたりと、いろいろな食品に用いられています。
言われてみれば、紅花のイラストが書かれたパッケージの食品をよく見かけますね。    


紅花の柔らかな色調は、古来から日本人の心を捉えてきました。

人々の衣を彩り豊かに染め、女性の口や頬を華やかにし、生薬として体を温めて、誰もが持っている内に秘める美を、自然と表現してくれる魔法の「紅花」。

昔も今も、女性の「美」への憧れの気持ちを呼び起こしてくれる素敵な花です。




5月の京都、渡月橋


                                                

伝統や侘び寂び、テクノロジーからサブカルチャーまで、世界中の人々をワクワクさせるワンダーランドニッポン。
まだ知らなかった日本の魅力・気づかれていない日本の奥深さに焦点を当て、人と日本をつなぐ「もの・こと」を取り揃えています。