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二十四節気・季節

『穀雨』次候、霜止出苗(しもやみてなえいずる)

こんにちは。皆さま、いかがお過ごしですか。リテール部の岩崎です。

4月25日から七十二候は『霜止出苗(しもやみてなえいずる)』となりました。
霜止出苗(しもやみてなえいずる)とは、気温は暖かくなり、朝晩の霜は北国でも降りなくなり、苗がすくすくと育つ頃をいいます。

日差しも強くなり、田植えの準備が始まるため、農家の方は忙しい時期に入ります。

かなり昔の事ですが、私が通っていた小学校では、学校に田がありまして、授業の一環で皆で田植えを経験しました。

泥に足を取られながら、友達と悪ふざけして転んで泥だらけ。それでも必死に皆で苗を植えた事は、今でも忘れられない思い出です。

無事に植えられた若苗の真っ直ぐな列と、水田に映る青空。

子供ながらにも「無事に育って欲しい!」と願った事を思い出しながら、今の有事に於いて、改めてお米・野菜など生産農家の方々の思いも感じ、毎日適度な量を、素材を活かしながら、感謝の気持ちで美味しくいただきたいと思います。


皆さま、この田植えの季節に咲く花を「苗代花(なわしろばな)」と呼ぶ事をご存知でしたでしょうか。
しゃくなげ(石楠花)・ツツジ(躑躅)・やまぶき(山吹)など、淡く優しい色の花、明るく鮮やかな色の花が、この時期から木々を彩り、新緑とも相まって、この季節を大変豊かな色彩で飾りますが、その花々の事を呼ぶそうです。素敵な名付けですね。
近くの野道でも、写真のように綺麗に咲き誇っていました。


やまぶきの花も、見事な八重咲きのヤエヤマブキも咲いていて、近くの喫茶店のマスター曰く、
「ヤマブキの一重咲きは結実(実をつけること) けれども、八重咲きは実をつけないんだよ。」と。

調べたら、古くは「後拾遺和歌集」にも読まれていました。
「七重八重、花はさけども山吹の みのひとつだけなきぞあやしき」
ヤマブキの「実の」と「蓑(雨具のこと)」をかけた歌。

『新宿区山吹町から西にある面影橋(おもかげばし)の一帯は、通称「山吹の里」といわれていて、これは、太田道灌が鷹狩りに出かけて雨にあい、農家の若い娘に蓑(みの)を借りようとした時、山吹を一枝差し出された故事にちなんでいます。』

調べてみて素敵だなと思ったのは、この主人公の道灌がその農家の娘さんが何故山吹の花を差し出したか、その時はわからなかった無学を恥じ、それ以来和歌の勉強に励んだという伝承であることでした。


七十二候というものは、紐解いていくと、昔から自然の恵みと季節・そして人との出会いの巡りに感謝し、毎日を大切に暮らしてきた日本人の姿が見えてきますね。
先人から受け継いだ言葉を「愛おしむ」人間として在りたいものですね。



当店のレンは、暖簾(のれん)を潜ってもらい、お客様にまだ知られていない日本の奥深い暮らしの考え方や工夫、魅力を伝えたいという想いで誕生しました。

永く愛されるもの、古きを温めて現代の生活を取り入れたくなるもの、自然素材のもの、生産者さま・作り手さまの温もりが感じられるもの、などを品揃えして、節目ごとにふと立ち寄りたくなるようなお店を目指し、丁寧により豊かに過ごすことができるようにと皆様をお待ちしております。